なぜ独裁者は
生まれてしまうのだろうか？
独裁者は、
前近代的な古めかしい
"劣った"体制ではなかったのだろうか？
いや、独裁者自体を受け入れたとして、
なぜ独裁者は「酷いことをする」のだろう。
プーチンは、
罪のないウクライナ人を
何人死に追いやったのだろう。
習近平は、
何人のチベット人を
非人道的な危機状態に追い込んだのだろう。
金正恩は、
何人の素朴な国民達の命を
飢餓で奪ったのだろう。
ただ、今回は、
彼らを非難する記事ではない。
なぜ、こうなってしまうのか？
これが純粋に気になるのだ。
そして、これに関する
一つの興味深い実証研究がある。
ノースウエスタン大学の心理学者
Adam Galinsky氏らによる研究だ。
これは僕の中でも
かなりお気に入りの実験だ。
簡単にいうと、
「自分のおでこにEを書く実験」
だと覚えてほしい。
嘘みたいな本当の話だ。
では、どのようなものなのか。
まず、人を２つのグループに分ける。
一つは権力(Power)を持ったグループ、
もう一つは権力を持たないグループ。
ちなみに、どう分けるかというと
「人を動かした経験を話させる」
ことで人を一時的に権力者的な
マインド状態にできるという。
次に、それぞれのグループに
自分のおでこに「E」を
書いてくださいと指示を出す。
すると、権力のあるグループの方が
自分側から見てEに見えるように書くのだ。
これは統計的に有意だという。
書いてる人から見てEに見える
という状態は他人が見ると
逆Eになるということだ。
ヨ
だ。よだよ。
やってみると分かる。
逆に権力が少ない人々は
相手から見てEになるように
書く傾向が出るとも言える。
この結果から、
何を言えるのだろうか。
簡単にいうと、
権力を持てばもつほど
他人の立場からものを考える
ということが難しくなる。
これは、僕の経験上
本当によく分かる。
僕は今まで、
何度も何度もリーダーの立場で
組織をまとめてきた。
もちろん、多くのリーダーと
関わることも多かった。
そうすると、他者への共感性を
徐々に失っていくリーダーを
横目に観察することができるのだ。
元々、このようなことに、
僕は疑問を抱いていた。
リーダーになった友人は、
なぜメンバーの思いを
理解しないのだろうか。
できないのか？
それとも、
意図的に無視しているのか？
そして、メンバーが不満を持ち、
組織から脱退するという結末を
何度も何度も見届けてきた。
もちろん、僕自身も、
同じ力学に侵されていたことがある。
権力は共感性を奪う。
これに抗うために、
身を削る思いで努力した。
(その結果、
いいリーダーになれた…と良いが)
その一方で、
人に共感できるリーダーは
慕われやすい。
最悪、
「共感している風」
なことを言うだけでも良い。
しかし、どれだけ優しくても
どれだけ人に寄り添える人でも、
権力を持てば徐々に変わっていく。
実験が示すとおり、
権力自体が人の共感性を奪う
という傾向は間違いないだろう。
僕自身の経験としては、
リーダーがそうなってしまう理由として
大局的な意思決定が求められるから
ということが１つあると考えている。
例えば、会社の例で言えば
「売上1億円」を目指し、
株主から毎年毎年圧力を受け、
それが株価に反映される。
そんな日々の中で
個々人の感情を考えていては、
大きな意思決定は難しい。
これは大袈裟な例かもしれないが
似たようなことは小さな組織でも起きる。
インターハイに出場するために、、、
イベントを成功させるために、、、
優勝するために、、、
などなど。
以上のような
権力についての話は、
すべての人が知っておくべきだと僕は思う。
どれだけ気をつけても、
毒されてしまう。
もしかしたら、
プーチン大統領も、
空爆で母親を奪われたり、
爆弾で足が吹き飛ぶ痛みに、
共感できないだけかもしれない。
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